独立行政法人労働者健康福祉機構 大阪労災病院

文字サイズ変更ボタン
Google WEB全体 サイト内
大労で受診する 大労に入院する 大労を知る 地域とつながる

診療科・各部のご案内

トップページ >各診療科・各部一覧 > 耳鼻咽喉科:実績・スタッフ

耳鼻咽喉科

難聴の治療と顔面神経麻痺の治療、そして頭頸部外科のすべて

疾患の説明

「内耳の病気」

突発性難聴

ある日突然、どちらかの耳がまったくあるいはかなりの程度聞こえなくなる病気です。耳鳴りやめまいが同時におこることもあります。原因はわかっていませんが、ストレスや疲労がこの病気の引き金となり、聞こえの神経に栄養が行き渡らなくなることで生じるといわれています。聞こえの程度は軽度難聴から高度難聴までさまざまです。この病気は手当てが早いほど、難聴の程度が軽いほど治りが良いようです。めまいを伴う場合は少し治りが悪いようです。聞こえの神経にダメージがおよぶこの難聴を「感音難聴」といい、手術では治すことができません。

治療は入院安静が一番です。そしてデフィブラーゼによる線維素溶解療法の点滴とステロイド内服による漸減療法を行います。当院では「高気圧酸素療法」といって空気を2気圧に加圧した部屋に入って酸素吸入をする治療なども行います。耳の聞こえが悪くなってから少なくとも2週間以内、できれば1週間以内、とにかく1日でも早くに上記の治療を開始する必要があります。発症から1ヶ月以上経過したものでは、満足のいく治療効果を望めない場合が多いようです。

両側高度感音難聴

当院では何らかの原因で両方の耳の聞こえが非常に悪くなった患者さまに、人工臓器である人工内耳を埋め込む手術を行っています。この手術はどこででもできるわけではなく、耳の手術を盛んにやっていて尚かつ手術後にリハビリをやってくれる言語聴覚士が揃っている施設でしかできません。また、この手術は誰でも受けられるというわけではなく、片方の耳だけが悪い人や補聴器である程度聞こえる人は手術を受けることができません。

<右耳の人工内耳埋込術の模式図>

人工内耳埋込術は具合の悪くなった内耳の蝸牛に電極を挿入することで、音刺激が直接聞こえの神経を刺激するように調節する手術です。両耳が聞こえなくなってから長年が過ぎますと音刺激を感じる脳の場所が退化するので、なるべく聞こえなくなってから時間が経たないうちに手術を受けた方が良いといえます。

メニエール病

メニエール病は突然、めまいと難聴を引きおこし、その後何回も繰り返す病気です。睡眠不足や過労等のストレスによって誘発されると言われています。本来内耳には一定量のリンパ液が貯まっているわけですが、ストレスを受けると水膨れをおこします。そのような内耳にとって悪い環境が続くと、三半規管がダメージを受けめまいが、蝸牛がダメージを受け耳鳴・難聴が生じます。

治療は内耳のリンパ液の調節を主体に行っていきます。まず利尿剤を使用したり、同様の作用がある漢方薬を使用したりします。場合によってはステロイドを使用することもあります。飲み薬でなかなかうまく治療できないときには、入院・全身麻酔で「内リンパ嚢開放術」という手術を行います。これは内耳の一番安全な「内リンパ嚢」という場所を切開して、貯まりすぎたリンパ液のはけ口を作ってあげる手術です。

<右耳の内リンパ嚢ステロイド挿入術の模式図>

また飲み薬治療と手術治療との中間に何か別の良い治療法がないか模索中ですが、水分大量摂取、有酸素運動、鼓膜チューブ留置、良質な睡眠指導など、患者さまのニーズに合わせて行っています。まずは、かかり付け医からの紹介状持参で受診してください。

良性発作性頭位めまい症

良性発作性頭位めまい症は頭を動かし一定の位置をとらせる、すなわち寝起きや寝返りの動作に伴って数分程度の一過性におこる病気で、一般にBPPVと呼ばれています。めまい患者さまの約半数がBPPVだと言われています。BPPVは重力を感じるために誰でも耳の奥に持っている耳石が何らかの原因ではがれ、回転を感じる三半規管の中に迷い込むことでおこります。

治療法は、耳石は内耳で作られては消え、遅くとも1ヶ月で新陳代謝します。したがって、あまり急激に頭を動かさないようにして、めまい止め吐き気止めの薬で対処していれば、遅くとも1ヶ月でBPPVは自然治癒します。しかしながら、中には頭部運動時の不快なめまい感がなかなか取れない場合があります。その場合には、頭部をいろいろな方向に動かすことにより耳石を元あった場所に戻す「エプリー法」や「レンパート法」というリハビリ治療が行われます。それでも治癒しない場合には、耳石と三半規管との間の通路を骨片や肉片で遮断する「半規管遮断術」という手術治療が行われます。

<右耳の後半規管遮断術の模式図>

このページのトップへ

中耳の病気

慢性化膿性中耳炎

急性中耳炎を繰り返して慢性化したものを「慢性化膿性中耳炎」といいます。たいていは子供の頃の中耳炎を大人になっても引きずっている状態です。慢性中耳炎は「聞こえ」が悪くなり「耳だれ」が時々出ます。患者さまは「耳だれ」が出なくなれば治ったものと思いがちですが、実は治ってはいないのです。何回も「耳だれ」をくり返すことによって、鼓膜に開いた穴は大きくなり、鼓膜の奥にある音を伝える骨(ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)の動きも悪くなるので、難聴が進行してしまいます。

中耳炎の難聴は手術(鼓室形成術)で治すことができます。耳の奥のうごきの悪くなった骨を取り替えて、鼓膜を新しく張り直します。穴の開き方によっては日帰りの局所麻酔手術もできますが、基本的には入院全身麻酔による手術となります。

真珠腫性中耳炎

何らかの原因で鼓膜の一部が内側に凹んでいき、「中耳」および「乳突洞」という場所に「真珠腫」を形成する病気です。やっかいなのは普通の中耳炎とは異なり、しだいに大きく成長し周囲の骨を溶かしてさらに広がります。周囲の神経にも影響を及ぼし、顔面神経管を溶かせば「顔面神経麻痺」をおこし、脳硬膜まで辿り着けば「髄膜炎」をおこし、内耳の平衡感覚をとる三半規管まで広がれば「めまい」をおこします。この中耳炎の「耳だれ」の特徴はとても「くさい臭い」がすることです。手術治療が必要です。

治療法は現在までの医学の進歩を持ってしても手術(鼓室形成術)しかありません。手術の目的はまず「真珠腫」をきれいに掃除し、次に聞こえを良くします。「真珠腫」を「中耳」や「乳突洞」に取り残しますと、そこからまた再発します。したがって手術は2回に分けて、1回目は「真珠腫」をきれいに掃除するだけで終わり、2回目は再発がないことを確認した上で聞こえを良くする骨の組み立てを行うこともあります。

耳小骨離断

交通事故などで頭を強く打ったとき、鼓膜の奥にある音を伝える骨の関節がはずれた状態をいいます。音を伝える骨は3つあって、鼓膜にひっついているのが「ツチ骨」、それに続くのが「キヌタ骨」、そして3番目の骨が「アブミ骨」です。「アブミ骨」は内耳の「卵円窓」という窓に蓋のようにはまり込んでいます。この3つの骨の関節が頭を強く打ったときにはずれてしまうと、音は内耳にうまく伝わらず難聴になります。この難聴は「伝音難聴」といい、手術で関節のずれを修復することで聞こえを治すことができます。

耳小骨奇形

生まれつき鼓膜の奥にある音を伝える骨の成長に不具合が生じ、3つの骨の関節がはずれた状態をいいます。この難聴も耳小骨離断と同じく「伝音難聴」といい、手術で関節のずれを修復することで聞こえを治すことができます。

耳硬化症

音を伝える3つの骨のうち、3番目の「アブミ骨」の底板が内耳の「卵円窓」に固着してしまう病気です。原因はわかっていません(一説には麻疹や風疹でおこるといわれています)が、「アブミ骨」の動きが悪くなってしまうので「伝音難聴」がおこります。難聴のみならず耳鳴りやめまいを訴えることも多く、メニエール病と間違われるケースもあるようです。この病気は通常、進行性で両方の耳におこります。

治療法は現在までの医学の進歩を持ってしても手術しかありません。3番目の「アブミ骨」を一旦取り去り、人工ピストンを埋め込んであげると聞こえが劇的に回復することがあります。この手術を「アブミ骨手術」といいます。聞こえの悪くなる早さがそれほど早くなければ、しばらく経過を観察するのも良いでしょう。

このページのトップへ

鼻の病気

慢性副鼻腔炎

鼻の周りの副鼻腔というところに膿が溜まったり、粘膜が腫れたり、時には粘膜が肥厚して鼻茸(はなたけ)を形成し鼻がつまったり、臭く粘る鼻汁が出たり、臭いがわかりにくくなったり、頭が痛くなったりする病気です。「蓄膿症」ともいわれています。 病状の経過により「急性副鼻腔炎」と「慢性副鼻腔炎」とがあります。

原因としては、鼻腔が構造的に狭いこと、細菌感染の併発、アレルギーの素因、低栄養状態などが関係するようです。程度の軽いものや、急性副鼻腔炎などには保存的に薬(抗生剤、消炎酵素剤など)を内服したり、鼻腔の粘膜を収縮させて鼻の通りをよくする処置をしたり、抗生剤や血管収縮剤を鼻腔・副鼻腔に霧状にして散布したりする治療(ネブライザー療法)が行われます。ただし、このような保存療法はかなり長期にわたって行わないと、その治療効果が現れないことがあります。

慢性副鼻腔炎で、保存的に治らないものは手術が行なわれます。程度のより軽いものでは、内視鏡を使い鼻の孔から器具を入れてだけで手術を行うことが可能です(内視鏡下鼻内副鼻腔手術)。この手術では、鼻茸(はなたけ)を切除したり、腫れている粘膜を取り除いたり、鼻腔から副鼻腔へ至る、もともと開いている通路(自然孔)を広げたりします。

このページのトップへ

のどの病気

慢性扁桃炎

扁桃炎は細菌感染により引き起こされる炎症で、「急性扁桃炎」では扁桃が赤く腫れ、膿が付着し、激しい痛みを伴います。発熱や全身倦怠感が出現します。さらにひどくなると、炎症や腫れのために、ものが痛くて飲み込めなくなることがあります。このような急性炎症をたびたび繰り返す状態を「慢性扁桃炎」といいます。 炎症を反復するときは「習慣性扁桃炎」という言い方もあります。

扁桃摘出手術の適応について、急性炎症などは抗生剤などの投与で治りますが、次のような場合は扁桃そのものを手術で取ってしまわないといけない、あるいは取った方がよく、手術の適応になります。

  1. 習慣性慢性扁桃炎=数ヶ月に一度おこるため仕事や学業に差し支える
  2. 扁桃病巣感染=腎臓や手足の皮膚に悪さをする場合
  3. 高度な扁桃肥大=ものが食べにくく、子どもの場合は成長に影響する
  4. 睡眠時無呼吸症候群=いびき、無呼吸により眠りが浅くなり、昼間の居眠りの原因になる

などです。

急性喉頭炎

いわゆる風邪ひき、急性上気道炎と言われるものが主ですが、声の乱用(大きな声の出しすぎ)・熱気や炎の吸入あるいは腐食性液の吸入でも起こります。治療として抗生剤や消炎酵素剤、蒸気吸入、ネブライザーなどを行います。

慢性喉頭炎

急性喉頭炎を何度もくり返したり、声の乱用、過剰な喫煙などで起こります。原因となっているもの、特に声の乱用や喫煙は止める必要があります。同じく抗生剤や消炎酵素剤、蒸気吸入、ネブライザーなどを用いて治療を行います。

声帯ポリープ/ポリープ様声帯

いずれも声の乱用あるいは過度の喫煙によって起こります。まずは原因を除去する努力が必要です。声帯ポリープとポリープ様声帯とは似ていますが病態は異なります。これらの疾患は症状が進めば手術的に治療する必要があります。全身麻酔下にて顕微鏡を使って喉頭微細手術(ラリンゴ・マイクロ・サージェリー)を施行します。しかし声の乱用、過度の喫煙を止めないと治療をしても再発することがあります。

声帯白板症/声帯乳頭腫

いずれも前がん状態あるいは悪性化する可能性のある疾患です。全身麻酔下にて顕微鏡を使って喉頭微細手術(ラリンゴ・マイクロ・サージェリー)で切除します。場合によっては手術後、放射線を当てます。

このページのトップへ

その他の病気

顔面神経麻痺

顔面神経麻痺とは、通常片側の顔面表情運動が悪くなる病気の事です。発症から数日間は症状が進行することがあります。 大多数は一側性の急性末梢性顔面神経麻痺であり、ベル麻痺といわれます。原因は不明ですが、ウイルス説が有力です。膝神経節という場所に潜伏感染している単純ヘルペスウイルス1型が、再活性化することで神経炎を起こし顔面麻痺になるという説です。寒冷被爆、紫外線曝露、ストレス、抜歯、妊娠などが誘因となります。 次に多いのはラムゼイ・ハント症候群です。これは水痘−帯状疱疹ウイルスが膝神経節で再活性化して発症します。顔面麻痺だけでなく耳介・外耳道入孔部の帯状疱疹(皮膚表面できる発赤や痛みを伴う疱疹)やめまい、難聴、耳鳴の随伴症状を伴います。難治性のものも多く、他の脳神経領域にも及んで多発性脳神経障害となる場合もあります。

ベル麻痺やラムゼイ・ハント症候群は、前述のようにウイルスの再活性化で発症します。ウイルス性神経炎により顔面神経は膨張(浮腫)しますが、顔面神経管(側頭骨内にある顔面神経を取り囲んでいる骨のトンネル)により相対的に絞扼(圧迫)され、神経内の毛細血管は循環障害(虚血)となります。神経浮腫→神経絞扼→虚血→神経浮腫という悪循環となる訳です。ですからベル麻痺とハント症候群は早期治療が重要です。ステロイド治療が最も有効とされており、入院加療が可能な方にはステロイド点滴大量療法を行います(約10日間)。入院治療が困難な場合にはステロイド内服漸減を行います。発症早期には抗ウイルス剤も併用します。ステロイドには様々な副作用がありますので、医師からの用量・用法を正しく守って下さい。その他には、外傷性・腫瘍性・耳炎性・反復性などがありますが、ステロイド治療だけでなく原因疾患の治療も並行して行います。

当科は顔面神経麻痺に精通しており、発症7〜10日で予後(将来の見通し)判定が可能な電気生理学的検査を全症例に実施しています。予後不良と判明した場合には、速やかに顔面神経減圧手術を実施しています(発症2週間以内)。

顔面神経麻痺の手術(早期・陳旧例)

麻痺発症後1ヶ月を経過しても麻痺が治ってくる傾向が見られない場合には、完全治癒は困難な場合がほとんどです。当科では発症10日目までに予後診断を行い、予後不良症例には顔面神経減圧手術をお勧めしています。早期から亜急性期の顔面麻痺に適応となります。

顔面神経減圧手術とは、顔面神経管で圧迫されている顔面神経を開放する目的の手術ですが、耳手術の応用となります。当科は耳手術の経験も豊富ですので、専門的な技術を要求されるこの手術は得意とするところです。

ボトックス治療

いろいろな治療法を駆使しても、後遺症(病的共同運動や顔面拘縮)が出現する事があります。後遺症の症状や程度にもよりますが、ボトックス(ボツリヌス毒素)の筋肉注射で症状を緩和することができます。後遺症でお困りの方にはボトックス治療をお試し下さい。

このページのトップへ

治療実績

大阪労災病院耳鼻咽喉科における鼓室形成術およびアブミ骨手術成績

慢性中耳炎
真珠腫性中耳炎
Ty - I  型 88%
Ty - III-C 型 64%
Ty - IV-C 型 50%
耳硬化症 症例数は日本の他施設の例にもれず
少ないが 90%以上

(注)聴力改善率は日本耳科学会判定基準による人数%

大阪労災病院耳鼻咽喉科における内リンパ嚢開放術成績

(注)めまい消失率は完全消失した人数%、聴力改善率は10dB以上改善した人数%

  インデックスページへ このページのトップへ