[真珠腫](05/25)
 59歳の女性。2年前から朝起きると耳だれが出るようになって受診。コンピューター断層撮影(CT)検査の結果、「真珠腫の疑いがある」と言われましたが、そのままにしていました。最近になって症状がひどくなり、手術を勧められています。手術は必要なのでしょうか。再発の心配はないのでしょうか。(大分・T)


    確定診断なら早期の手術が必要

奥村新一(おくむら・しんいち)さん 
大阪労災病院(耳鼻咽喉<いんこう>科部長)

 真珠腫は、体の表面や臓器などの内面を覆う上皮という部分の成分の塊が耳の中で徐々に大きくなって周囲の骨や組織に障害を及ぼす病気です。塊が真珠のような色や形をしているのでこの名前がつきました。
 原因ははっきりしていませんが、耳から鼻の奥に通じる耳管の働きが悪いために鼓膜の上皮が中耳の方に引っ張り込まれて起きると考えられています。

 おもな症状は、耳だれと難聴です。耳だれは強くにおうのが特徴で、血が混じることもあります。症状があまり出ず、中耳炎の治療などで見つかる人もいます。まれに真珠腫の塊が大きくなって平衡感覚をつかさどる三半規管や、顔面神経が傷められ、めまいや顔面まひといった症状が出ることもあります。

 診断には相談の方も受けられたCTが役立ちます。確定診断がつきますと、手術することになります。それ以外の治療法、たとえば薬で治すといったような方法はありません。

 手術はたいてい2回に分けて行います。まず、全身麻酔をし、塊を取り除いて鼓膜を張り直します。時間はケース・バイ・ケースですが、2〜4時間かかります。この時は鼓膜の震動を伝える耳小骨の修復はしないので聞こえ方は悪くなります。

 2回目は耳小骨を作り直すもので、1回目の半年から1年後をめどにします。再発の有無を調べてから手術します。

 耳小骨の復元は、自分の軟骨を使ったり、前の手術時に残した骨片を使ったりします。ただ、うまくいっても、耳小骨の状態によっては、聴力は完全には戻らないこともあります。

 手術後はなるべく耳の中をさわらない方がいいでしょう。こうした治療をしても、5〜10年後に再発することがあります。日常生活で予防する方法はありません。とくに子どもでは再発する場合が多く、手術が数回にわたることも珍しくありません。塊が小さいうちに手術した方が確実なので、なるべく早く専門医を受診して下さい。

(朝日新聞社)

参考:元ウェブ画面
大阪労災病院耳鼻咽喉科