Q 嗄声(させい)とは何ですか?
A 嗄声は、「しわがれ声」とも読みます。 いわゆる「声がれ」ですが、いろんな程度の声がれを総称して嗄声と呼んでいます。 原因は喉の病気はもちろんですが、首や胸、頭の病気でもおこります。
喉の病気でよく見られるものは、急性喉頭炎、慢性喉頭炎、声帯ポリープ、声帯結節、ポリープ様声帯、声帯白板症、声帯乳頭腫、喉頭がんなどです。
Q 首や胸や頭の病気でなぜ嗄声を起こすのですか?
A 腫瘍や外傷、炎症などにより、声帯を動かす反回神経(ひとくちメモ参照)あるいはその中枢が障害され、反回神経麻痺が起こると声帯の麻痺が生じ、嗄声を来すことがあります。
Q 診断はどのようにするのですか?
A 間接喉頭鏡という簡単な道具を使って喉頭、特に声帯の観察をすれば診断は簡単につけることができます。
ただ神経反射の強い人、すなわち喉にものを入れられるとすぐにゲーッとなる人には、喉の表面麻酔をしたあとに喉頭鏡検査を行いますが、表面麻酔してもダメな場合にはファイバー・スコープを使って鼻の穴から喉頭にファイバーを入れ声帯を観察します。
Q 治療はどのようにしますか?
A 原因となる病気により治療法は異なります。 保存的治療で治るもの、手術が必要なものなど、色々あります。 嗄声をおこす喉の病気で、よく見られるものについて説明します。
(1)急性喉頭炎いわゆる風邪ひき、急性上気道炎と言われるものが主ですが、声の乱用(大きな声の出しすぎ)・熱気や炎の吸入あるいは腐食性液の吸入でも起こります。 治療として抗生剤や消炎酵素剤、蒸気吸入、ネブライザー(ひとくちメモ参照)などを行います。
(2)慢性喉頭炎
急性喉頭炎を何度も繰り返したり、声の乱用、過剰な喫煙などで起こります。 原因となっているもの、特に声の乱用や喫煙は止める必要があります。 同じく抗生剤や消炎酵素剤、蒸気吸入、ネブライザーなどを用いて治療を行います。
(3)声帯結節・声帯ポリープ・ポリープ様声帯(写真)
いずれも声の乱用あるいは過度の喫煙によって起こります。 まずは原因の除去が必要です。 声帯結節は、過度の喫煙より、無理に大声を出したときに生じやすいようです。
声帯ポリープとポリープ様声帯とは似ていますが病態は異なります。 これらの疾患は手術的に治療する必要があります。 全身麻酔下にラリンゴ・マイクロ・サージェリー(ひとくちメモ参照)を施行します。 しかし声の乱用、過度の喫煙を止めないと治療をしても再発することがあります。
(4)声帯白板症・声帯乳頭腫(写真)
いずれも前がん状態あるいは悪性化する可能性のある疾患です。 ラリンゴ・マイクロ・サージェリーで切除します。
(5)喉頭がん(写真)
最近は早期に発見され治癒率も95%を超えるようになっています。 症状は大部分が嗄声で、患者さまも早期受診されますので手術をしなくても放射線治療でほとんど治癒してしまいます。 進行しているものは喉頭全摘術などの手術が必要となります。 喉頭全摘術を行うと発声できなくなりますが、訓練により食道発声で再び声を取り戻すことができます。
(6)反回神経麻痺
前述のように首や胸や頭に原因があって生じる場合もありますが、原因不明のことも多いのです。 最初は無声、続いて嗄声となり数日で軽快・回復するものと、しないものがあります。 回復しないものは嗄声が続きます。 反回神経麻痺は声帯が正中位(ひとくちメモ参照)で固定して動かなくなるのです。 そのため、この反回神経麻痺が両方に生じた場合は呼吸困難をおこしますから、気管切開、しかも永久気管孔を作成する必要があるのです。
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左から、声帯結節、声帯ポリープ、ポリープ様声帯 ![]()
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左から、声帯白板症、声帯乳頭腫、喉頭がん
■一口メモ
反回神経
反回神経はちょっと変わった神経で、脳神経のひとつである迷走(めいそう)神経から首のところで枝分かれして下の方へ行き、左側は大動脈弓を前から後ろに回り込んで上に向かいます。 右側は右鎖骨下動脈を前から後ろに回り込んで上に向かいます。 上方に向かった反回神経は、両方とも甲状腺の裏側を通って喉頭の声帯を動かす筋肉に至るのです。 そのために「反回神経」と呼ばれるのですが、首から一旦下方の胸部にまで行って、また上方の喉頭に行く長い経路を持っているので、首の病気や胸の病気で障害され麻痺を起こすことがあるのです。 もちろん頭の中枢で迷走神経が障害されても麻痺が起き、嗄声を起こします。
ネブライザー
薬液を超音波などで霧状の小さな粒子にして、喉頭などの局所に吸入散布する治療法です。 最近家電製品としても、簡単な製品が売られています。
ラリンゴ・マイクロ・サージェリー
金属の筒状の器械を喉頭に挿入し、声帯を直接明視下におき、双眼顕微鏡で拡大して、患部を切開あるいは切除する手術です。
正中位
中心部、真ん中という意味です。 声帯は左右一対あり、両方の声帯が正中位で合わさって発声します。 両側の声帯が正中で固定すると空気の通りが殆どなくなり呼吸困難を起こします。
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