:Q:めまいがしたので診てもらったらメニエルといわれました。どんな病気ですか?
A:正しくは「メニエール病」と言い、内耳の病気です。ぐるぐる回る(回転性)めまいがすればメニエール病と診断される場合が少なからずありますが、メニエール病は、すべてのめまい疾患の、わずか数パーセントを占めるに過ぎません。病気としての名前は有名ですが、実はそんなによくある病気ではありません。
回転性めまいだけでは、メニエール病とは診断されず、めまいに伴って、難聴と耳鳴りが起こり、めまいがおさまると難聴と耳鳴りも軽くなるのが典型的な症状です。
めまいの性状も、瞬間的あるいは数分間ではなく、最低でも数十分、長い時で数時間も持続します。難聴と耳鳴りを伴った回転性めまいを、しかも、繰り返すのがこの病気の特徴です。そのため「何もできずに寝ているだけ」で「仕事ができない」ので、社会生活上の影響が大きいのです。
回転性めまいがおこりますから、自律神経反射としての、吐き気や嘔吐も引き起こします。難聴の程度も発作をくり返しているうちに、段々進行して行くのが特徴的です。
メニエール病によく似た病気に、内耳梅毒、突発性難聴、外リンパ瘻、前庭神経炎、聴神経腫瘍などがあります。これらの疾患と鑑別する必要があります。
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Q:原因は何ですか?
A:原因は不明ですが、一般的には、ストレス、疲労、あるいは睡眠不足などが引き金になって起こることが多い様です。また神経質とか凡帳面な人に多く見られます。この病気の本態は、内耳の「内リンパ水腫」(下図)であることが分かっていますが、その原因が不明なのです。:
Q:内リンパ水腫とは何ですか?
A:内耳の内リンパ(ひとくちメモ参照)系、すなわち膜迷路と呼ばれる蝸牛管、球形嚢などの中にある内リンパ液が増え、内リンパ腔の圧が上昇することにより、膜迷路が拡張・変形する病態です。内リンパ水腫は、内リンパ嚢での内リンパの吸収障害により発生することが明らかになっていますが、原因は不明です。しかし内リンパ水腫はメニエール病の発作を起こしていない時にも存在すると考えられているので、めまい・耳鳴り・難聴発作は膜迷路の破綻や、蝸牛管あるいは球形嚢と外リンパ腔の交通によるとの考えが現在のところ有力です。(下図)
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Q:どのように診断しますか?
A:問診、聴力検査、温度眼振検査(ひとくちメモ参照)、グリセロール・テストなどにより総合的に診断が行われます。聴力検査では、初期には低音部の難聴、病期によっては変動性の難聴、進行したものでは高度の難聴が認められます。難聴は通常、片耳に起こります。温度眼振検査でも、片耳の反応低下が見られます。グリセロールを服用して難聴の度合いを調べるグリセロール・テストでは、グリセロール服用後の難聴の程度の軽減を認めます。
そして、問診で特徴的な病歴(繰り返す、難聴と耳鳴りを伴った回転性めまい)があれば、ほぼ診断できます。まれに両耳に内リンパ水腫がおこることもあります。めまい発作の時には自発性の眼振を認めます。
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Q:どのように治療しますか?
A:治療は病期によって異なります。めまい発作期にはメイロン(7%重曹水)点滴静注療法や鎮静剤による治療をします。難聴に対してはステロイド製剤、ATP製剤、ビタミン剤などを使います。めまいのない時期には浸透圧利尿剤のひとつイソバイド投与などの脱水療法が行われています。
保存的治療でうまく行かない時や、発作の頻度や強度が激しい場合には、耳鼻科的手術療法が選択され内リンパ嚢開放術や前庭神経切断術(ひとくちメモ参照)がなされます。
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内リンパ
内耳は膜迷路の中にある内リンパ液とその外側を取り巻く外リンパ液で満たされており、内リンパ液の中には音の振動を知覚する蝸牛や平衡感覚を知覚する球形嚢と卵形嚢、三つの半規管などがあります。(下図)内リンパ液と外リンパ液は壁で隔てられていて、普通混ざることはありません。内リンパ液と外リンパ液とでは、ナトリウムとカリウムの成分比が極端に逆転しています。破綻や瘻孔によりこれらの成分の構成比の混乱が生じるのが、めまい発作の機序とも考えられています。 ↑戻る
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温度眼振検査
内耳に三つある半規管のひとつ、外側半規管を体温より7度高い温水(44℃)と7度低い冷水(30℃)の注水で刺激して、誘発される「眼振」を観察して半規管機能をみる検査です。眼振とはリズミカルに反復する不随意性の眼球の回旋運動のことです。 ↑戻る:
内リンパ嚢開放術
内リンパ嚢に穴を開けて、増えすぎた内リンパ液を排出する手術で、難聴やめまいの原因となる内リンパの圧迫を取り除きます。前庭神経切断術
脳神経の8番目の神経である内耳神経は、聴覚に関係する蝸牛神経と、平衡覚に関係する前庭神経のふたつから成り立っています。めまい発作が激しい場合や強度な場合に、この前庭神経を切断する方法がとられます。 ↑戻る
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