Q扁桃炎とは?
A 昔は「扁桃腺炎」と言ってましが、正しくは「扁桃炎」です。 のどの奥にある「扁桃」は「腺」ではありません。 リンパ組織を主体とする器官ですが「扁桃」はリンパ節ではありません。普通の扁桃炎は細菌感染により引き起こされる炎症で、「急性扁桃炎」では扁桃が赤く腫れ、膿を持ったり、激しい痛みを伴います。 発熱や全身倦怠感が出現します。 さらにひどくなると、炎症や腫れのために、ものが痛くて飲み込めなくなることがあります。 このような急性炎症をたびたび繰り返す状態を「慢性扁桃炎」といいます。 炎症を反復するときは「習慣性扁桃炎」という言い方もあります。
Q扁桃炎の診断方法は?
A 「扁桃炎」は症状と、のどの奥にある扁桃の状態を観察することによって診断されます。 血液検査をすれば白血球数の増加とCRP値(炎症の程度を示す検査値)の上昇を認めます。 細菌検査をすれば一般的には、溶連菌、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌などが検出されることが多いです。 「扁桃炎」に特有の検査はありません。Q扁桃炎の治療は?
A 「急性扁桃炎」は解熱鎮痛剤を使い、適切な抗生物質の内服あるいは点滴注射を行い、原因となった細菌を制圧することによって速やかに治癒に向かいます。 もちろん、局所の清掃・殺菌目的でうがいをすることもよい方法です。 このように普通の「扁桃炎」では経過は良好です。 「扁桃周囲膿瘍」や「伝染性単核球症」は普通の扁桃炎とは治療方法が異なるので、注意が必要です。Q注意の必要な扁桃炎は?
A まず、「扁桃周囲膿瘍」は急性扁桃炎から急速に炎症が周囲に及んで「周囲炎」を引き起こし、さらに続いて膿瘍を形成した状態をいいます。 原因となった細菌の力が強いか、体調が不良で感染症に対して抵抗力が低下した場合になります。 ときには、魚の骨が刺さった部位から炎症が波及したり、「おやしらず」の歯肉などの炎症から「周囲炎」「扁桃周囲膿瘍」を引き起こすことがあるので注意が必要です。 「扁桃周囲膿瘍」の症状は激烈で高熱・強度の咽頭痛と嚥下痛・開口困難(口を開けにくくなる)が出現しますが、さらに重篤な場合には気道閉塞を起こして呼吸困難となることがあります。 たいてい一側性で扁桃周囲は著しく腫脹・発赤しますが、しばしば開口困難のため視診が困難になります。入院治療が必要となり、十分量の抗生剤を点滴投与して局所切開と排膿することが大切です。 一般的に切開・排膿すれば急速に開口困難は治っていきます。 しかし、実際には開口困難がありますから、切開・排膿することは至難の技です。 したがって、周囲炎の段階である場合でも入院して抗生剤の点滴治療を一日2回行うことが必要な場合があります。
「伝染性単核球症」は、かつて「腺熱」と呼ばれていた病気です。 原因はEBウイルスの感染です。 感染経路は口・呼吸器です。 症状は一般的に、発熱・咽頭痛・頸部リンパ節腫脹です。 扁桃は発赤・腫脹し白色の偽膜でおおわれます。 全身のリンパ節腫脹や肝・脾臓の腫大をみることもあります。 血液検査では単核球様リンパ球の増加とGOT・GPT・LDHの値の上昇が認められます。 この病気は自然に良くなっていきますが、肝機能障害があるので必ず安静・入院が必要です。 二次感染防止のためテトラサイクリン系やマクロライド系の抗生剤が点滴投与されます。
Q扁桃炎の予防法は?
A 昔は「塩でよく歯を磨く」とか「はげしくうがいする」などが、予防法としてさかんに励行されていました。 これらもなお有効ですし、歯磨きは塩でなくてもいいでしょう。 しかし大事なことは睡眠を十分にとり、過労を避け、摂生に努めることです。 埃っぽいところは避け、過度の飲酒や喫煙を慎むことは言うまでもありません。 特に喫煙はビタミンCの消費を高め、習慣性扁桃炎の人にはよくないとされています。
一口メモ
扁桃の種類について
普通に扁桃というのは口蓋(こうがい)扁桃のことです。 のどのつきあたりの両側にあるアーモンドのような器官です。 しかし実はこの他にも扁桃があるのです。 舌根扁桃・咽頭扁桃(アデノイド)・耳管扁桃・咽頭側索(いんとうそくさく)などすべて扁桃です。 これらはのどの周りにあり、のどを防御する形に輪状になっているので、これらに口蓋扁桃も入れて「ワルダイエルの咽頭輪(Waldeyer's tonsillar ring)」と呼ばれています。病巣感染について
扁桃に慢性の炎症があると、これが引き金になって他の遠隔部位に疾患をひきおこしている状態をいいます。 具体的には糸球体腎炎、リウマチ熱、心内膜炎、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)などがあります。扁桃摘出術の適応について
急性炎症などは抗生剤などの投与で治りまが、次のような場合は扁桃そのものを手術で取ってしまわないといけない、あるいは取った方がよく、手術の適応になります。1習慣性扁桃炎
2扁桃病巣感染
3高度な扁桃肥大
4慢性扁桃炎
5睡眠時無呼吸症候群などです。
さいごの「睡眠時無呼吸症候群」とは、睡眠中、扁桃肥大などが原因で、睡眠中ある一定の時間の間、呼吸していない状態が繰り返しおこる病態で、突然死の一因子ともいわれています。
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